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木工職人のたいていは日、欧、米、3種の長さの単位を使い分けることができます。
尺貫法、メートル法、インチですね。どうしてかな?
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・尺貫法 戦後長期にわたって公的には使用禁止されてきていた。永六輔が尺貫法の復活に尽力したことはつとに知られたところだが、職人の世界ではお上が規制しようとも連綿として使ってきていた。何故ならば、建築、木工の分野では単にそれまでの習慣といったことにとどまらず、単位としての合理性に叶っていたからだろう。流通している既製品の木材の厚みの単位は今も尺単位だ(例:24mm,27mm,34mm,45mm,などはどう見ても8分、9分、1寸1分、1寸5分だろう)。
また金属の分野でもネジの呼称として・・分、という尺度が生きている。
・メートル法 設計図面をはじめ、あらゆるところにこの単位は勝ち誇っている。
・インチ このサイトにアクセスしていただいている人にはパソコンをめぐるハード、ソフトの単位のあらゆるところにインチが用いられていることにはとうに周知のことでしょう。(因みに愛機の Power Book G4 の外装厚みはほぼ 1" です。 >>これは余談でした)
現在地球上でこのインチ、ヤード単位を公式に用いているのは米国、オーストラリア?あたり、ですか。米国一極集中主義の病弊はまさかメートル法を駆逐する !! などと言いだすことはないとは思うが、日本でもちゃんとインチが生きています。石油の衡量単位、ゴルファーの好きな単位などだけではありません。
木工機械、刃物の単位の呼称は圧倒的にこのインチが幅を利かせています。
まず木工機械の主軸のそのほとんどは 1" (=25.4mm)です。
機械の能力を示す単位の定盤の幅は305mm(=12"), 406mm(=16")
刃物では、丸鋸の外径サイズは205mm(=8") , 305mm (=12") ,380mm(=15")405mm(=16") etc
同様に角のみの刃 6.4mm(=1/4") , 9.5mm(=3/8") , 11mm(=7/16) 12.5mm(=1/2") etc
またルーターのビット軸径も 6mm(=1/4) , 12mm(=1/2")
それらのほとんど全てがインチ単位で設計制作されていることがお解りでしょう。
これは日本に木工機械が輸入された経緯に起因することを遡れば理解できることだろうと思います。
ことほど左様に、インチ文化はどっぷりと木工機械の世界にはびこってます。
こうしていつの間にか木工職人はユニバーサルな換算得意(特異?)人間になってしまうのです。
職人の経歴を推察するには簡単な換算をやらせてみるのも良いかも知れない(ハハハ)
長さの単位は各国様々ですが、いずれも身体のパーツの長さに期限を持つものが多いそうです。
因にインチ、寸は親指の幅、尺は人間が手を伸ばして測量しているという象形文字に起源があるそうです。
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