机面になる上の扉を開くと、細かく仕切られた書類整理用の書棚(この扉は鍵付き)が付いています 下部は抽斗と扉内は棚になっています。
側板、天板の接合は伝統的手法の「天秤差し」で行っていますので、とても堅牢で、美的価値を魅せています。
製作上のポイントは机面にあります。 表側の鏡板は無垢板なので、その伸張を考慮した仕口が必要です。 対して裏側(机面側)は枠と鏡板は同一面(ツライチ)で、しかも隙間なくタイトに結合されていないと具合が悪いです。 この表裏の相反する動きをどう処理するかがポイントになります。 制作者、メーカーによってその手法は様々。 基本としては表裏の物理的動きを切り離すこと。表の無垢部分は伸張を上手に逃がし、裏の机面部は動きを殺さねばなりません。 (中には1枚の無垢板を表裏一体でそのまま使う制作者も見かけますが、こういうことをやってはいけまあせん。板の伸張で、枠との間にスキマができ、ごみがたまり、筆記の際にはペン先が書類を破ってしまいます) 因みに、マホガニーの方の机面はブラックウォールナットのバール杢(コブ杢)の厚突き(1mm)の突き板を展開張りし、集成材をコアとしてこれに張ることで、革張り様のイメージを持たせたものです(革張りよりもなお高級)。 外側の鏡板部分は机面の展開張りに対応させるように削りだしで、四面に陰影を付けています。 なおこの扉は施錠できるものとなっています。