工房悠の設立理念

 工房悠の制作理念

 工房悠の制作手法

 工房悠の用いる素材

 工房悠の塗装について

  • 日本の伝統的な文化としての木工を、現代の居住空間のなかに取り込み、美しく快適でモダンな生活空間を提供したいと考えています

  • 伝統工芸としての木工を展開するだけではなく、そのスピリチュアルな要素を現代に蘇らせ、高い精神性を持った高品質の木工家具を提案します。
  
クラフトマンシップの工房です
工房悠は、デザイン、設計から原木調達、制作、販売まで一貫した木工を行う、クラフトマン シップの工房です。その精神はアートアンドクラフト様式に基づいた、手仕事としての木工の復権です。
伝統的木工技術を基盤としています
伝統的木工技術体系に裏付けられた偽りのないしっかりとした木工を基盤として、現代社会生活でのストレスに疲弊する人には潤いを、また美を追究する人にはファインアートとしての木工家具を提供いたします。 
  • 木工全般を扱います 

制作対象は、木工家具全般(キャビネット、テーブル、椅子、など)ですが、花台、照明器具、などインテリア全般における木工に関わる領域まで、また住宅にとどまらず店舗、オフィスなどの什器制作なども承っています。

  • 日本の伝統的木工技術体系にもとづいた手法にて制作しています。(これらは決して博物館に収蔵されてしまうような過去の遺物というものではなく、今でもなお、世界に誇るべき木工加工技術の最高峰なのです。)

  • 制作手法において、無垢材を用いることは多くの困難をともないます。後段の「素材」の項に記すように、現在の家具産業はこれらの困難を合板という工業素材の開発により克服しています。しかしそれにより、残念ながら失われたものは決して少なくはありません。
    本来の木が有する強度ー靱性、耐久性、そして何よりも有機自然素材ならではの固有の表情、つまり美的価値、これらを生かし引き出すことこそ木工家に課された使命と自戒しています。

  • 無垢材を用いることの多くの困難は、古来より先人らが工夫を重ね、技術開発を進めることにより克服してきたのでした。この日本に於いては世界に誇る木工加工技術の優れた体系が遺されてきています。
    しかし現代の大量工業生産のシステムの中では、手仕事を基本的手段とする伝統的手法はなじまず、一部の指物作家のものとしてのみ細々と伝えられてきたにすぎませんでした。工房悠はこれらを学び、復権させ、優れた木工家具を提供したいと考えています。

一例をあげるとすれば

  • 仕口(木工に於ける基本的な接合の仕様)はもっぱら「ほぞ組」です(ダボは使いません)

  • 組み手も「天秤差し」に代表される、手仕事を多様しています。

  • テーブルなどの天板と脚部の結合には、「送り寄せ蟻 吸い付き桟」方式を基本としています。この技法は無垢の板ならではの、反り、伸縮(木は伐採し、加工組み立て、製品にしてもなお呼吸しています。そのために置かれた環境に自ら合わせようとします。有機素材ならではの特徴です。このために日本での四季の環境の変化で、例えば1mの幅の木ですと約7〜8mm程の伸縮が生じます)を上手く逃がしながら緊結させるというかなり高度な技法です。
    一般に無垢のテーブルなどではこうしたことへの対策として「吸い付きアリ桟」という手法が使われます。これは一本の桟を甲板に貫通させてしまうものですが、「送り寄せ蟻 吸い付き桟」はこのアリ桟をブロック状に加工するもので、数cmの平行移動で緊結させるものです。従って「吸い付きアリ桟」が抜き差しできない構造なのに対し、ノックダウンとしての機能を併せ持つという側面も見逃せない特徴としてあげることができます。
  
  •  量産家具の素材

現在、市場に出回っている家具の素材の多くは合板です。これに木目をプリントしたものや、木材を薄くスライスしたもの(ツキ板といわれる0.15mm位の厚みの、紙ほどの薄いもの)を貼ったものが使われています。これは工業製品として家具を製作するための産業界からの要請でした。
有機素材としての木材はどうしても環境の変化で反ったり暴れたり、伸張したりしますので量産工場では扱いにくいものになります。いわゆるフラッシュ構造といわれる合板の家具は、素材を他のマテリアルと同様に無機質な工業用素材として扱うことができるようになります。

  •  工房悠の作る木工品は無垢の木材を基本としています

工房悠の作る家具は工業製品ではありませんので、無垢の材木を素材としています。木の家具を製作するということは、とりもなおさず他のなにものでもない、ひとつひとつの個性を有する有機素材としての木の本来の表情を生かし切らねばならないと言う、ある種の敬虔な立場に立脚しなければならないと考えています。
材木の流通市場には、すぐにでも加工にまわせるような板での製品も出回っていますが、工房悠は内外の銘木を原木丸太にて入手し、さらにその後、自ら製材、乾燥 管理しています。従って大型の家具の製作においても統一した風合いで良質、廉価の制作が可能です。(流通市場において入手できる既製品の板では様々な丸太原木が使われ、また概して若い木ー細い径のものが多く、これらはどうしても暴れやすく、良い品質のものを制作する素材としては向いていません)
 自然素材を対象とする木工芸のクォリティーは、やはり素材選びの段階でかなり規定されるといわねばなりません。 

  •  朽ちるものこそ大事です

取り合わせる他の素材も和紙、鉄、などのいわゆる自然素材です。
(工房悠が用いる材種についての情報は>>
こちらまで

  
  •  エコロジカルな塗料 漆と植物油

工房悠の木工家具は合成樹脂塗料を排し、漆、植物油などのエコロジカルで安全無害な自然有機素材、天然塗料を用いています。
現在、住宅、家具の塗装の主流は、ラッカー、ウレタン塗装に代表される合成樹脂塗料です。これは近代の工業化社会のなかでの生産性、堅牢性、などを追求してくてきた結果としての技術革新の成果の一端でした。しかしこれは環境、人体の健康に様々な弊害をもたらせてきていることが明らかになってきています。(シックハウス症候群、アレルギーなど)
人は、健康で安全な生活を送る権利を有しています。しかし現状は有害物質だらけの住宅建材に囲まれ、また施工業者も作業工程での皮膚接触、消化吸入のリスクにさらされていますし、さらに大気の汚染はオゾン層の破壊の原因にもなっています。
従って、家具の材料、製作工程にもエコロジカルで安全な方法をとらねばなりません。工房悠が行うオイルフィニッシュ、拭漆はいずれも自然有機素材、天然塗料ですので安心してお使いいただけます。

  •  素材の美しさを引き出す塗装

さらにまた、健康的塗料というだけではなく、素材の本来の美しさを引き出す能力からみてもこれらは最良の塗料ということができるのです。合成樹脂塗料は素地の善し悪しにかかわらず、塗装プロセスで色調の調整、塗面の平滑調整ができ、そこそこの仕上げをすることができますが、本来の素材の美しさを引き出すものとは残念ながら言えません。

  •  拭 漆

拭漆という手法は生漆(きうるし)を10数回塗っては拭き取り、塗っては拭き取りを繰り返すことにより、素材のもつ本来の木味を引き出してくれますし、他の塗料では出せない独特のつやと輝きをもたらせてくれます。(従って日本の白木に見られる木目のきれいな材種にはとても向いています)
ともすると「漆」というだけで、何か高級品、日常使いにはちょっと、取り扱いが難しそう、といった感があるやも知れませんが、心配には及びません。漆塗りは耐水性は強く、程々の熱にも強く、耐薬品性も合成樹脂にひけを取りません。むしろ、合成樹脂の塗装は完成、納品されたときが最高の状態で、そこから劣化がはじまるのに対し、漆塗りはむしろ逆に経年変化で風合いが増してきます。最初は黒ぼったい風合いが一年も経過すると透明感が増し、素材の木目はすっきりと現れてきます。

  •  オイルフィニッシュ

一方、植物油を用いるオイルフィニッシュという手法は、合成樹脂塗料とは異なりいっさい塗膜はつきません。塗膜で素地を保護するのではなく、生地に深く含浸させ、中から固めるという手法ですが、塗面はいわゆる濡れ色となり、落ち着いた深い味わいを醸し出してくれます。確かに使用環境に関わることですが、耐熱性に劣るとか、濡れた、熱いお茶碗を置くと輪ジミができやすいといった欠点があるのは事実ですが、良い素材を用い、良い仕上げをした木工家具にはこれにまさる仕上げ方法はないと、確信を持っていえます。
特にブラックウォールナット、ローズウッドなどの濃色材にはたいへん好都合で、材色が冴えわたり、木目が明瞭になりますので、素材の美しさを生かした仕上げになります。
お使いになるユーザーがその家具の使用環境を考え、上述のことを理解していただき、必要に応じメンテナンスをしていただけるとするならば、ぜひこの手法をお勧めします。
ただ漆は供給量が少なく、高価になり、またオイルフィニッシュのその工程数は化学塗料に比しはるかに多くなり、生産性が低いという欠点もあり、量産現場では避けられてきていました。

  •  サスティナブルなものづくりを

塗装工程のみならず、生産過程全般においての問題ですが、工房悠は持続可能な社会の再構築に寄与するというスタンスからも生産工程では化成素材を排除し、環境適応型の生産現場として常に意識を高く持ち続けたいと考えています。