工房 悠が設備している木工機械および電動工具などについて紹介しながら、木工家具の製作スタイルについても考えていければと思います

木工とは木を切ったり、削ったり、穴を穿ったり、といった加工工程の積み重ねです。
大昔は人力で行っていたものが、産業革命を経て、動力を利用する木工機械が様々開発されてきました。
正倉院の遺物に見られる精緻な木工作品もほとんどが手工具によるものと推察されるが、しかし恐らくはその時代の最高の精度と、合理性を有するハイテクな工具を用いて制作されたに違いないでしょう。

手工具にしろ電動工具、機械にしろ、目的とする加工工程に最もふさわしい道具の選択をすることが肝要です。高い精度と、高い生産力を求めるならば、適切な木工機械を使用するという選択になることは自明です。その結果その時代の最もハイテクな設備を選択することになったとしても。
つまりはいつの時代でも、生み出されるものはその時代背景に規定されるということでしょう。

[Concept]でも記したように量産家具の現場では生産工程のそのほとんどを手工具を排し機械で行うようなシステムになっています。生産性を高めるという命題こそが大衆消費社会における価値基準であるからです。
しかし工房 悠は木を単なる工業生産物の素材として扱うものではなく、それぞれ固有の表情を持つ有機物として位置づけているので、機械、工具の考えかた、使い方も自ずから異なってきます。

同じ機械でも量産家具現場のように生産性を追求するためだけの使われ方と、手の延長線上としての手工具、さらにこれに動力を介し精度と生産性を獲得した機械を使いこなそうとする考え方では自ずからアプローチが異なります。手工具において発揮される精緻さも、機械においてもこれをとことん使いこなすことにより同様に可能になるのです。
同じひとつの機械でもこれを使う職人の熟練度、加工目的、求める精度により生み出されるクォリティーは様々なのです。

工房 悠が設備する機械、工具についてご紹介しながら、制作スタイルについて考えてみます。
各ジャンルごとにまとめましたので、左からクリックしてください。

▼ 工房 悠の機械設備は概略以下のようなラインナップです。
無垢材の框組から板差しの構造までのあらゆる加工に 対応する設備がされています

>>それぞれの「機種」、あるいは写真をクリックしますと詳細情報ページにジャンプします。

機 種 製造者名 型 式 仕 様
 かんな機械
1 手押しかんな盤 大洋製作所 SHP-300 2.2Kw 305mm
  
2 自動一面かんな盤 桑原製作所 KU-N 600 型 6.45Kw 4枚刃
最大加工幅620mm
 のこ機械 
3 軸傾斜丸鋸盤 山田精機 DSU-14 2.2Kw
最大のこ径 410mm  
4 テーブル傾斜丸鋸盤 MISATO 2.2Kw
  
5 軸傾斜横切り盤 永和工業所 AT-G16 2.2Kw
最大加工長さ1.300mm  
6 帯のこ 日立工機 CB 75F形 75×2824mm
最大挽き割り高315mm
■ せん孔機械
7 角のみ盤 篠田鉄工 0.75Kw
  
8 ボール盤 日立工機 B 13S 13mm 300w
   
■ 成形削り機械
9 ピンルーター 菊川鉄工所 KR-B 1.5Kw 20.000rpm
  
10 面取り盤 庄田鉄工 SM-123 2.2Kw 100mm*100φ
0〜10000 rpm
11 ホゾ取盤 深見工業 TN-D 2.2Kw 四軸2枚
  
 仕上げ研削機械
12 超仕上げかんな盤 丸仲 ROYAL 10 1.5Kw 250mm
  
13 三点ベルトサンダー 芦品鉄工 AS-2 1.5kw
1.800mm
14 スピンドルサンダー 小阪精機 R-1500 0.75kw
15φ〜75φ
15 エアスピンドルサンダー 0.75kw 100Φ
 圧締機
16 大型自動プレス 中村工機 0.75kw
1m × 2m

アシスタント希望者が自己アピールとして「サンディング位だったら僕にもできます」などと言うことがあるが、サンディング作業はそれほど簡単なものなのかな ?

塗装、わけても拭漆、あるいはオイルフィニッシュにおいては、その仕上がりは生地の状況を見事に反映させてくれる。仕上げが悪いと、いかにお化粧しようとも、だめなものはダメ。生地が固有に持つ表情を生かすも殺すもサンディングのプロセスで決まる。

また生地が本来有さねばならない形状を変形させてしまうリスクを伴うのもサンディングプロセスだ。
(未熟な職人は逆目がしっかりと取れたかどうかの判断ができなかったり、あるいは本来の形状をサンディング過程で損なってしまうということはしばしば。

例えば平滑であるべきところが、サンディング作業の未熟さで、端末部を過剰に研削してしまい平滑性を損なってしまう(板面中心部は均質に仕上がるが、端末はどうしても規制がかからず、落ち込みがち)。あるいは面の形状などで、しっかりとエッジを立て生かしたいところが、サンディングの未熟によって、エッジをなくしてしまい表情をあいまいにしてしまうこともある)